今回は宇宙に関する話題を幾つか
とりあげます
まず 謎のPlanet Xについてです
Planet Xは海王星の更に外側にある
太陽系に属する未知の天体という意味です
ここのところ再びPlanet Xについて
取り沙汰されていますので見ていきましょう
まず2016年1月20日、カリフォルニア工科大学の
バディギンとブラウンらにより 地球の質量の
地球の直径の2〜4倍程度で10倍程度の質量を
持った天体が 海王星の20倍以上遠い軌道を
1万年〜2万年もかけて周回しているという
発表をしました
そして暫定的に「Planet Nine」と呼称しました
冥王星が入っていた頃はPlanetXは10番目で
丁度よかったんですが いろいろとあって
こうした呼称には天文業界もちょっと荒れました
これと別にアリゾナ大学の研究者が太陽系
外縁天体の異常軌道の原因を計算した結果
「Planet Nine」とは別の惑星が存在する
可能性を示しました
なんらかの大きな質量があれは それは他の
天体の運行に影響を与える (この場合は軌道の
歪みが大きく成る)軌道の計算から未知の天体が
判定されたのは歴史的にもありました
この道の天体は火星程度のサイズとちょっと
小ぶりで軌道半径は60-70AU/天文単位
(地球~太陽間の60倍)とされています
また こうした遠方の天体の観測のために
最新鋭の望遠鏡が投入されることになっています
それが、チリ・パチョン山に作られた
ヴェラ・ルービン大型シノプティックサーベイ
望遠鏡です
3.2ギガピクセルの巨大なカメラで
超広視野をサーベイする新型望遠鏡です
本当にPlanet Xが見つかるか楽しみです
続いてはちょっとマニアックな話題です
はやぶさ2がリュウグウからサンプルを得て
地球に戻ったことは記憶に新しいですが
あのようなミッション 当然どこの場所を
探査のターゲットするかが大事になります
次のレポートはそうした探査の目的地に関する内容です
宇宙科学研究所
探査するなら、これ?
小惑星帯に太陽系外縁天体のような
非常に赤い天体を発見
図1は、近地球型小惑星〜小惑星帯〜トロヤ群に
存在する、アルベド(絶対反射率)が0.1以下
の暗い小惑星の典型的なスペクトルと今回
発見された203ポンペヤと269 ユスティティアの
スペクトルの比較の図です。 162173リュウグウは
C型で、ベヌーはB型です。D小惑星は小惑星で
最も赤いスペクトルで、トロヤ群に多く存在しています。
小惑星で最も赤いD型より、203ポンペヤと
269ユスティティアは更に赤いことがわかります。
分光的な比較の結果、203 ポンペヤと269
ユスティティアは太陽系外縁天体やケンタウルス族
天体と同様な分光特性を持つことが明らかに
なりました
D型小惑星よりもさらに赤いスペクトルを持つ
太陽系外縁天体やケンタウルス族天体表層は
複雑な有機物で覆われると考えられることが
過去の研究で指摘されており、小惑星帯の二つの
天体も同様にそのような有機物で覆われていると
考えられます。(図2)一部抜粋
ちょっと難しい記述なんですが火星と木星間に
存在するアステロイドベルト内に非常に赤い
スペクトルを発する天体があるということ
そして こうしたスペクトルは複雑な有機物の
存在を示唆していること
更に重要な点は図2を見ればわかるように
そうした小天体は 本来なら海王星より
遠い100AUに近い遠方に多いのに それより
ずっと近距離のアステロイドベルトにも
存在していた
ならば 探査する穴場ではないかな?
とする内容です
アステロイドベルト自体の生成の原因も
まだ確定していませんし これは興味深い
探査候補地かもしれません
続いてはアメリカでの
民間ロケットの派手な爆発です
これはFirefly Aerospaceという新興宇宙企業の
Firefly とは蛍という意味ですが 蛍というには
派手な爆発でした
ロケット本体が制御不能となっている
ここは月面着陸のアルテミス計画にも参画しており
すでにNASAから9,330万ドルの契約も受けています
今回 爆発したFireflyアルファは使い捨て型で
低軌道なら1t(2,200ポンド)
太陽同期軌道なら 600キロ(1300ポンド
のペイロード能力があります
そして JAXA宇宙研オンライン特別講演会
なぜ人類はまた月を目指すのか? を載せます
2時間程度でしたが とても充実した内容でした
その中でも日本が進めている小型の
月面探査機SLIMについて見ていきましょう
今回 この最新衛星の様々な資料が公開されました
世界に魁るピンポイント着陸
このSLIMは これまでの月面着陸した探査機が
着陸誤差が数kmオーダーだったのに対して
着陸目標地点に対して まるでJDAM/精密誘導弾の
ようにはるかに近い距離で着陸することを
目指しています
そのために新たな装備がいくつも開発されています
まず着陸目標地点に対しての画像照合航法の
確立と そのために高性能かつ放射線耐性の
高い新型FPGA/Field Programmable Gate Array
の開発
着陸時の垂直降下を和らげるこれまでの
ショックアブソーバーとは異なる衝撃の
吸収材の開発
更に目標地点の傾斜にあわせて 着陸後に
自身で斜めの姿勢をとるユニークな機能
などなど このSLIM衛星に結集しています
また将来的には この降着システムは
スペースXで作られているロケットのように
再利用可能ロケットの離着陸にも応用される
かもしれません
さらに同機の開発に使用された試験モデルも
相模原に展示されるようです
アポロの月着陸の決定的証拠
ところで ネットなどでもいまだに
アポロは月に行っていないという
陰謀論的な書き込みを散見します
管理者が製作したモデル
今回 近年の高精度の月面観測画像の中で
月面上に残されている着陸船の下部と
月面車や旗などが 克明に写っている
ものがあります
横に伸びているのは月面車による轍の後です
月面では風も雨も無いので いつまでも
克明に残されているわけです
最後はNASAが提供しているMoon Trekで
遊んでみました
これはNASAが蓄積した月面のデータで
作られた誰でもフリーで使えるコンテンツで
いながらにして月面気分が味わえます
そんな中から ちょっと面白かった地形を
ピックアップしてみました
なんらかの流体が流れた後か 抉れている地形
切れたビーズのように列を成すクレーター群
血管やマスクメロンの表面のように浮き出ている線状の地形
これはクレーターでなくて 環状に浮き出ている地形
横の長円は隕石がバウンドしたのか? おもしろい形のクレーター
これは1cm四方が約50mに相当する月面のズームです
探査機が下りたような場所はここまで高解像度で見れます
月面を見ていると水と空気がいかに大切かがわかります