かつてバイデン氏がまだ 民主副大統領
だった時に 興味深い発言をしました
その気になれば 日本は一日で核兵器を持てると
いう趣旨の発言です
そこで この発言が事実か少し見てみましょう
一応 ややこしくなるので憲法とか核査察等は
考慮せず あくまで技術的でざっくりとした想定です
米国副大統領 「日本は事実上、一晩あれば
核兵器を製造する能力を持っている」
米国のバイデン副大統領は中国の習近平主席に
「北朝鮮の核開発をこのまま放置しその結果日本が
核武装したらどうするのか」などとし北朝鮮に
圧力をかけるよう求めていることが分かった
「我々は習主席に対し、北朝鮮がハワイやアラスカや
米本土まで攻撃できる核兵器の開発を進めている事実を
はっきり認識するよう求めた」
高高度防衛ミサイル(THAAD)に関しても
「それに対してわれわれが防衛システムのレベルを
上げようとすれば、習主席はそれに反対し、 米国が
中国を包囲していると考えるようだ」などとも話した
「また中国に対し、日本が明日にでも核武装をすれば、
どうした事が起こるか理解しているか問い詰めた」
とした上で 「日本は事実上、一晩あれば核兵器を
製造する能力を持っている」との見方を示した。
米国のPBS放送より
報復用の弾道弾想定
まず初期モデルを想定しましょう
あくまで報復用ですから あまり大きくなくて
移動も秘匿もしやすいタイプがいいと思います
核兵器は持っていてもブラッフにしか使えない兵器ですし
500Kt程度の単弾頭(初期原爆を20Ktとすると25発分)の
中距離弾道弾程度で良いと思います
射程は北京まで2000Kmですから 3000Kmで十分でしょう
必要な科学
まず最も基本となる核の研究 核物理なんですが
最近はニュートリノ等の素粒子物理が盛んですけど
日本はww2中の仁科研からの長い歴史があります
それが先ごろ 新元素ニホニウムへとつながっていく
わけで あくまで平和利用にかぎられてましたが
この点については素地は十二分だと思われます
必要な製造技術
原爆は比較的単純で 高校生が作ったとか
いうような話もいくつか流布されてますけど
実際の工作精度はかなり高度でしょう
しかし 中国の工場で使われている機械の多くの
マザーマシンが日本製であること
(その中国でさえ核兵器を製造配備している)や
現在 数多くの宇宙開発用ロケットやX-2という
第五世代機実証機を形にしていることなどから
見ても技術的に十分に製造可能でしょう
必要なデータ
次に問題になるのは爆発のデータです
保有国は何度も核爆発を繰り返してこのデータを
豊富に持っています 日本は開発のために繰り返して
爆発させることなど無理でしょう
ただ核融合発電用の爆縮等に関する情報は
世界有数の技術とデータを持っています
大阪大のレーザー核融合装置
実は水爆と核融合発電なら 水爆の方がずっと簡単です
なぜなら水爆はたった一度だけ エネルギーを開放すれば
いいだけなのに対して核融合発電は点火に一億度以上の
熱が必要で その後も放射を安定的に閉じてコントロール
し続ける必要があるためです
(MIRVなどの誘導技術はまた別にして)
更に日本のスパコンも世界で常に処理速度争いを続ける
トップレベルにあり 幾つかの爆発データに核融合用の
ものを外挿しシュミレートしていけば それなりのものに
なると思います
必要な運搬能力
これは旧式のカッパロケットですけど
緑色にするだけで 立派な軍用に見える
さて 弾頭ができても運搬手段が無くては仕方ありません
そのためには固体燃料ロケットが必要ですが 日本には
ご存知 AI搭載で自己診断までするという優れものの
イプシロンがあります
ただミューやイプシロンは全長が26mから30mもあって
これだと最大クラスのICBMになってしまうので悩みます
(実際 探査用のミューM-Vロケットでも射程10000km以上
で数Mtの弾頭を持った中国最大級ミサイルのDF-5よりも
発射重量は大きい)
最初はL-4Sなど小型固体燃料ロケットでしたから
小型化もたぶん大丈夫でしょう
また管理者が以前に考えた無人偵察機TACOMの改良型で
巡航ミサイル型を提案しましたけど 十分に小型化できれば
これに核弾頭を詰むこともアリ!だとおもいます
必要な放射性物質
さて そうなると残るのは材料の問題です
この前 こんなことがありました
関連記事
オバマ政権の決定で米に東海村から
プルトニウム331キログラム分を返還へ
(もっとも州レベルで搬入拒否されたw)
このとおり 日本は相当にプルトニウムを持っています
2014の統計では英仏に預けてる分40t 国内分10t 計50t
ほどあることになってます
以前 クリントン候補が国務長官時代に米国の核兵器
の弾頭は1発当たりのプルトニウム4kgといったので
50tなら単純計算で12500発分にもなります
ですが すぐ核兵器大国になるかといえば違います
日本のものは不安定なプルトニウム240がほとんどであり
これとPu239を分離して弾頭用Puにしないといけません
またウランの場合も反応させるために濃縮しないと
いけませんが これも発電用でさえ米国でやって
もらっているので軍用など そうそうできません
Puは分離が命 ウランは濃縮が大事なわけです
というわけで日本は非核武装で平和(ピンホー)でした
めでたし めでたし 劇終
えっ? もんじゅだってぇ?(ギクッ!)
既に再処理工程で純度97%以上のPuを何十トンも
生産したとかいう人もいますけど どうだかねぇ
まぁ 北京を吹っ飛ばすくらいは出来ているのかも・・
結論
一晩はオーバーとしても可能性は高いでしょう
要は高純度のPu239を保有しているか いないかに
よると思いますけど もし存在する場合には数十Kgでも
数発の弾頭は製造可能だと思われます
世論も あくまで報復用の自衛兵器という設定なら
保険という意味で理解は得られやすい点もあるでしょう
以上